ケチと呼ばないで
「これ、いくらやったと思う?」
これは買い物をしてきた大阪人が、よく言うセリフである。別に高級品を自慢しているわけではない。でも自慢したいのだ。何をって?もちろん“安さ”をである。
とにかく安いモノをGETしたら、絶対に誰かに聞いてもらわないと気がすまない。
新しい服を着ていくとする。「ええやん」とホメて欲しいのはどこの地域でも同じだが、大阪人の場合、それプラス「やっす〜!(安ぅ)」と言ってほしくてウズウズしている。
「あれ?新しいスーツちゃう?」
「そうやねん。昨日買うてきてん」
「ええやんかぁ」
「これ、いくらやったと思う?」
ここでまかり間違っても安すぎる値段を言ってはいけない。少し高いぐらいの値段を言うのがエチケットというものである。たとえば、正直なところ4万円ぐらいに見えても、相手は「5万円」と言ってほしいのだ。
ところが付き合いも長くなると『このコやったら、絶対に3万以上するもんは買わへんし、値段を聞くということはきっと安いんやろな』などと、先読みをしたりなんかして「29,800円!」なんて言った日にゃあ、「失礼やなぁ。そんなに安いわけないやろっ!!」と憤慨されてしまう。そうした会話は次のような感じである。
「そうやなぁ・・・29,800円!」
「なんでやねん!そんな安いわけないやろっ!!」
「ほな、39,800円!!」
「と思うやろ」(いやいや、あんたが言わしたんや)
「なんと!19,800円!!」(どうじゃっ!という感じ)
ここにきて、ひとつの矛盾を感じる人も多いことだろう。
初めに「29,800円」と言われて「そんな安いわけないやろ」と怒っておきながら、最後は自慢げに「19,800円」と言い切るわけのわからなさ!!
さすが大阪人。
つまり彼女が買ってきた洋服は、もともと39,800円の正札がついていたのである。
それを19,800円という格安でGETしてきたというわけだ。そこが自慢したいところである。要は、買い物上手を自慢したいわけだ。別に安物を買うことに命を懸けているわでもなんでもない。
話だけ聞いていると、大阪人とはとんでもないケチに思われるかもしれない。しかし大阪人にとっては、高級品を高い値段で買っても自慢にならないのである。
高級品を安く買ってこそ価値がでるというもんだ。
そしてそれを隠さない大阪人てば、何てスガスガしいんだ!!